『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』を読んだ

各章のコアメッセージ

第1章

・日本企業における必要経費方式による給与体系では、必要経費の積み上げ=労働の再生産コストに見合うだけの給料しかもらえない。

・商品の価値=原料の価値の積み上げ+社会一般的にかかる平均労力

・商品の値段=価値(ベース)+ 需給関係、使用価値etc.(オプション)

・労働力を商品と捉えると、労働力の値段=給料は、労働を再生産する(明日も同じように働く)ための価値をベースとして決定される。

・ただし、スキル習得のための労力の積み上げも、労働力の価値に加算される。

・会社による給与の差異は、「価値」ではなく「使用価値」の差異がうむマーケット内の需給関係によって生まれる(アディショナルなものである)

第2章

・企業の利益の源泉となる剰余価値は、おもに

(労働者が生み出した付加価値)ー(労働者の給料)の差異によって生み出される

・企業は労働者から「1日分の労働力」を買い取っている。この権利を行使しつつ、できるだけ多くの絶対的剰余価値を得ようとする=長時間労働の正当化。

イノベーションはやがてコモディティ化する。資本主義の構造は「技術革新&コスト削減による特別剰余価値の創出」であるが、特別だったものはやがて「世間平均」となる。

イノベーションユニクロ、低価格スマホなど)により、労働者が使う生活手段の価値が低下

=必要経費を元に算出される労働力の価値が低下

=必要労働時間が減り、企業のために働く剰余労働が増加

・終わらない競争(ラットレース)という資本主義のジレンマを脱却することはできない。その中でうまく生きる方法は?

第3章

・労働力を商品としてみれば、使用価値(成果や利益)だけでなく価値(仕事ができるようになるために積み上げた労力)が不可欠。なぜなら、給料は価値ベースで決まっているため、労働力の再生産に必要なものの量(=価値)が多ければ多いほど給料も多くなるからである。

・使用価値(インセンティブやノルマ達成、残業)に頼った働き方は、体力と精神力を削り毎日全力でジャンプするようなものである。

第4章

・自己内利益=年収や昇進から得られる満足感 ー 仕事に費やした労力や苦痛や時間

・年収を最大化することではなく、自己内利益のリターンを最大化すべし

・上を目指し、人生の損益分岐点を上昇させ続けても、激務だけが残る(年収があがっても、コストだけが残る。そして元のレベルにはもう戻れない。人間は喪失感を獲得した時よりも強く感じる生き物)

第5章第6章

・必要経費を下げる方法=精神的苦痛を減らすこと 

※好きな仕事、得意な仕事ではなく「興味を持てる仕事」

・満足感を挙げる方法=労働力の価値のベースに加算される、過去からの積み上げを利用する

・「土台」を作るためには労働力の消費ではなく投資が不可欠

・労働力の投資は、知識やスキルが陳腐化しない(賞味期限が長い)フィールドで行うべし ex.会計知識や営業力

・身につけるのが大変、「かつ」使用価値がちゃんとある知識や経験を身につける

・PL思考よりBS思考:短期的利ざやではなく、将来の利益を生み出す資産の多寡に注目しよう

・労働力の投資は10年スパンで考える(長期的)

 

感想

○資本主義における労働のあり方についてはまさにそうだなぁと。「資本論」を読んだことはないが、一日分の労働力を搾取されているのは不都合な事実である。経営者は労働者に剰余価値を生み出させるために夢や「圧倒的成長」を掲げるが、実のところエゴイズムである。

○転職をしても、結局同じ資本主義の構造の中であって、アディショナルな部分での違いしか生まれないのは当然か。しかし、だからこそアディショナルな部分で差をつけるべく念入りに安定した高収益業界(化学や金融など)を選ぶのだと思われる。

○少なくとも一流大企業においては、「労働力の再生産のための給与」以上の給与が安定して出されていると思われる。もちろん、大企業であってもラットレース不可避であるばかりか、役職者は激務であることが多い。

○自己内利益を最大化する方法として、精神的苦痛の軽減は予測不可能であるばかりかぶれが大きい。ストレスは定性的であり定量的に評価しづらい。一方、年収に紐づいた満足感は上限が青天井であり、利益最大化の手段として見込みがあるように思える。しかし、企業の社員としている限りはやはり上限は設定されているものであって、青天井ではない。とすると、満足感を無限大にしていくためには①経営者になる②不労所得を得る(投資を行う)しかないのではないか。

○左の項「年収や昇進による満足感」よりも「生活の余裕による満足感」「仕事への興味や楽しさによる満足感」も加味するべき。右の項に関してはどんな仕事であっても(ホワイトカラーであれば)さほど変わらないと思われる。精神的苦痛はどんな仕事にしても存在し、労働時間も8~12の間を推移するだけであろう ※外コン、スタートアップ経営者などを除く。

 

○Q.自分にとって精神的苦痛の少ない(興味を持てる)仕事とは。

①精神的マイナス面の低減:ハードな交渉がない、飲み会強制がない、海外を飛び回らなくてよい(環境の急激な変化×)、職場におけるダイバーシティの軽視や差別発言がない(これが一番大事かも)

☆総合すると、国内に顧客多い、多様性を重視する風土、サバサバ←コンサルやんw

逆に無理なのは商社金融不動産重厚長大メーカーとかかしら。ほとんど無理やん。社会向いてない

②興味を持てる:企画できる仕事、ハードよりソフトを作る、BtoBのお堅い内容(エンタメ系広告系のようなちゃらちゃらしたのは嫌い)、深い仕組みを学ぶ必要あり、個人の裁量大きすぎは×

○それを作るために長期にわたって投資したい「土台」:

陳腐化しないものとしてまず思い浮かんだのが英語。→当面(2~3年以内)は自学で足りるが、結局業務内で使わなければ上達もしないのではないか

つぎに営業力。これはもうゼロからのスタートなので、目の前のノルマにとらわれることなく自分なりのスタイルを数年以内に確立する。

職場で、できるだけ人事HR領域の専門的な知識を身につけることのできる部署に配属されることを祈る。もし、そこで労働力の「消費」であって「投資」にならないような業務が続くのであれば、早いうちにシフトチェンジをすべきであろう。

○この本のメッセージによれば、総合コンサルタントは次々に新しいプロジェクトにアサインされ、当面はアナリストとして奴隷労働に従事させられるという意味で、経験を資産化しづらいのではないか?(とはいえ戦コンであればMBAなみの陳腐化しない知識が身につくとは思うけれど…)

○とりあえ労働力として搾取されながらも同時に資産形成にもなるような仕事ってそんなにないんじゃないの、という。理想論過ぎるけど、ある程度陳腐化しないメソッドなどを習得してから独立するのがいい、と言っているようにしか聞こえない。他の人が身につけようと思っても身につかない能力ってほとんどないと思う。しいて言えば他の人が継続していないことをやり続ける、って事かしら。スペシャリスト寄り?(あるいはスペシャリティの掛け合わせ。)

○人生全般において「消費ではなく投資」思考の重要性を感じた。とくに若いうちはそうなんだろうなあ